Research of manpower supply business field.

他に類のない派遣業界幹部向けの会員制メールマガジンを発行し始めて4年になります。派遣業界に 関する話題を斬新独特の切り口で取り上げ、多くの派遣会社管理職の皆様に愛読いただいております。そのバックナンバーの一部を御覧下さい。

東田康之

紹介会社の紹介予定派遣

紹介予定派遣は2000年12月に解禁された制度です。この事業を行うためには紹介免許と派遣免許の両方を必要としますが、イメージとしては「派遣会社のための制度」という印象が強く、人材紹介会社は見向きもしなかった(していない)と言っても過言ではありません。その証拠に,解禁直後から全てといっていいほどの派遣会社が争うように紹介免許の取得に走りましたが、人材紹介会社が派遣免許の取得に動いた例は寡聞にして知りません。

なぜ紹介会社が動かなかったか? 制度としては人材派遣法の中での制度改訂であり、「よそ事」との認識だったのでしょう。また順序としては派遣期間の後の紹介決定ですので、後工程が本業である紹介会社よりも前工程が本業の派遣会社のほうが取り組みやすいと考えられたのでしょう。

それともう一つ、、、。これは絶対口にされないことですが、紹介業界は派遣業界を一段下に見ていた嫌いがあります。「我々は男性の転職という、人生に大影響を及ぼす役割をになっているのに対し、派遣会社というのは女の子をリースしてそのうわまえをはねる商売ではないか、、」そんな「優越感」が派遣分野に乗り込んでいくのをためらわせたというか、その気にならなかった理由かもしれません。

私の個人的体験を言うと、この制度が施行されたと同時に私の前職会社リクルートスタッフィングでも全支社紹介免許を取得し、私が責任者であった大阪支社でも取得しましたので、人材協(社団法人日本人材紹介事業協会)関西支部の総会が肥後橋の住友倶楽部で行われる事を知り、早速デビューという事で参加したのです。総会はつつがなく終り、そのあと部屋を変えて懇親会に移りました。その時私はここぞとばかりに名刺を配りまくったわけです。肩書きは取締役関西事業部門長で決して遜色あるものではなかったはずですが、配る相手配る相手が妙に冷たい対応で、名刺をためつすがめつ、「フーン、派遣会社ねえ、、、」という反応なのです。この瞬間感じた妙な違和感は上の印象に繋がりました。

閑話休題。

そんな紹介会社の中のガリバー会社であり、2006年3月期売上260億円のリクルートエージェント(旧社名リクルートエイブリック)が派遣免許を取得して紹介予定派遣市場に参入しました。このニュースは今年1月13日発行の市況通信148号でお知らせしましたが、再掲しますと、

----- Original Message -----
Sent: Friday, January 13, 2006 11:58 AM
Subject: 人材派遣市況通信(148) 紹介予定派遣に新しい動き

~中略~

●もう一つは紹介業界の横綱リクルートエイブリック(売上204億、2位のインテリジェンスは67億)が6月から紹介予定派遣に参入します。(詳しいリリース発表はこちら)
これは大変珍しいニュースです。紹介予定派遣分野は今まで人材派遣会社が職業紹介業に参入すると言う形をとってきましたが、今回は逆に人材紹介会社が人材派遣業に参入する始めての(多分)ケースで、それも紹介業界最大手の参入だからです。

エイブリック紹介予定派遣の特徴はユニークで、

  1. 派遣期間を「面接の延長」という位置づけで1ヶ月以内という短 期間に設定
  2. 派遣期間に利益を取る考えはなく、請求料金は粗利益ゼロのスタッフ支給料金のみとする。
  3. 紹介フィーは通常より安い年収の20%。
  4. 対象職種は年収300万前後の事務職に限定

派遣期間を職務遂行能力を判定する期間としてではなく、人物を見る期間と位置づけているのがユニークです。だから1ヶ月で充分という事なのでしょう。これだと紹介会社として慣れないスタッフフォロー業務は必要ありません。さすがエイブリック、シンプルで納得性のある紹介会社らしい商品企画で、これは売れるでしょう。これが広まった場合の派遣業界への影響ですが、④が派遣業界と募集対象層がダブるということ意外に『派遣期間粗利ゼロ』というのが頭の痛いところ。しかし派遣期間利益無い代わりに紹介フィーはしっかりいただくというのは見習うべきところです。今の派遣会社の紹介予定派遣は派遣期間も紹介フィーも中途半端な利益しか取っていないのが現状ではないでしょうか。ただこの方向に行けば行くほど派遣会社ではなく紹介会社の紹介予定派遣になってしまいますが、、、、。

ともあれ上記掲載アドレスのニュースリリース記事熟読されることをお薦めします。そして経営幹部の皆様は今一度自社紹介予定派遣の実情を精査され、今のままでいいのか虚心坦懐に見つめなおす必要ありかと思われます。正価の紹介手数料率に対し、実際の手数料率平均がいかほどか、また支社支店営業mgr間でバラつきが無いか、またそもそもそれに経営目標数値を設定しているのか、経営陣(皆様)がそれをうるさくマネジメントして来たのか、、。

(引用以上)

上記文章は丁度今から6ヶ月前ですが、予告どおりに6月より紹介予定派遣スタッフ募集が始まりました。添付資料はとらばーゆ首都圏版7月5日発売号掲載の派遣スタッフ募集広告です(添付資料)。リクルートエージェント29年の歴史においてとらばーゆ掲載は初めてではないでしょうか。

ちゃんと派遣免許を取って派遣会社としての募集広告です。
詳細はコピー出力してじっくり御覧いただくとしてポイントを申し上げると、

  1. 派遣期間は1ヶ月限定
  2. 支給時給は派遣先、職種によらず一律1800円。
  3. 連絡はメールにて。PCアドレス持たない人はサービス提供できません。
  4. 説明会は転職経験少ない方々に転職のイロハを伝える内容のため、転職経験が多く慣れている方(経験者数4社以上)は相談会参加をお断りすることあり。

関係者に直接聞いた情報によると課題も多いそうで、最大の問題が、とらばーゆやリクナビといった派遣スタッフ募集媒体に出稿する結果、正社員での推薦になじまない経歴の派遣スタッフ層が「私も社員になりたい」と押し寄せることで、正直この層は「あまり歓迎ではない」との事。本音を言えば従来の転職層を紹介予定派遣で集めたいのだが、派遣募集媒体に出さざるを得ないことで「招かれざる客」が多数を占めてしまう、というものです(上の4の条件などは苦しい断わり文句です)。

紹介業者としての私の見解をいいますと、紹介予定派遣が一番威力を発揮するのは、「従来の通常」の人材紹介ケースにおいて、お試し1ヶ月派遣期間を挿入することです。これがあると採用担当は「迷ったら落とす」のではなく「迷っても入れる」ことになり、結果採用バーは下がって受験者には好都合ですし、採用側もリスク回避できます。

派遣スタッフ募集媒体で他の多くの派遣会社の中に混じって「正調紹介会社」が通常紹介に適する人材を募集するのはなかなか困難なことでしょう。ともあれ業界最大手が動いたという事で、他の専業紹介会社はこの成否に注目のことでしょう。