他に類のない派遣業界幹部向けの会員制メールマガジンを発行し始めて4年になります。派遣業界に 関する話題を斬新独特の切り口で取り上げ、多くの派遣会社管理職の皆様に愛読いただいております。そのバックナンバーの一部を御覧下さい。
東田康之
「ゆり戻し」、、、、人材派遣業界にとってはまさにこの言葉が適当と思われる事態が進行しています。いやーな感じです。
それがどんな事態かを説明するのに誠にコンパクトにまとめられた新聞記事がありますのでまずはこれをお読みください。今回の通信は長いですのでお覚悟を、、。
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2007/10/20, , 毎日新聞
土曜解説:労働者派遣法改正を巡る攻防=社会部・東海林智
◇解消なるか、規制緩和の影
日雇い派遣労働者の給与から「業務管理費」などの名目で不正な天引
きが行われたり、製造業などで請負労働を偽装した労働者派遣が
発覚するなど、派遣労働を巡る問題が注目される中、労働者派遣法の
見直しの論議が始まった。規制緩和の波に乗り拡大の一途をたどった
派遣の労働現場で広がるきしみに、どういう処方せんを出そうとして
いるのか。
議論は使用者側と労働者側、公益委員の3者で構成する審議会(厚生
労働相の諮問機関)を舞台に、来春の通常国会への同法改正案提出を
念頭に進められている。ひずみの是正に抜本改正を求める労働者側と
さらなる規制緩和を求める使用者側が、激しい議論を繰り広げること
が予想される。
同法は85年に制定された。当初、派遣労働は不安定な労働になりや
すいため通訳や秘書、ソフトウエア開発など専門性の高い13業務に
限って解禁された。その後、経済界の要望で次々と規制が緩和され、
99年には対象業務が原則自由化、04年には製造業への派遣も解禁
された。一方、派遣期間の制限(3年)を超えて働く場合、企業が直
接雇用を労働者に申し込む義務も課した。
使用者側は、日本経団連が今年6月に発表した規制改革要望で、(1)
雇用申し込み義務の撤廃(2)派遣制限期間の撤廃(3)全業務への
派遣解禁――などを求めている。「就業形態は多様化している」と、
さらなる規制緩和を追求する姿勢だ。日雇い派遣についても「(労働
者の)ニーズがある」と規制しない立場だ。
これに対して、労働組合側は「不安定雇用、低賃金でワーキングプア
の温床にもなっている」と労働者保護の立場から抜本改正を求めてい
る。具体的には、専門型を除く一般業務への派遣では、派遣先が決ま
った時だけ働く登録型派遣を原則禁止とし、派遣元に常時雇用される
常用型派遣を基本とすることや、偽装請負や違法な派遣があった場合、
受け入れ先の直接雇用とみなす規定などを主張している。そうなると、
日雇い派遣は原則禁止となる。連合は参院選での民主党勝利もあり、
一歩も引かない構えだ。
派遣労働者は86年の14万人から255万人(05年度)まで増え、
うち75%が登録型の労働者だ。若年者の雇用の不安定、低賃金は少
子化対策の面でも検討すべきだ。福田内閣は「小泉政権の影の部分に
光を当てる」と言う。規制緩和路線の影の部分でもある、派遣労働問
題にどのような光が当たるのか、注目される。
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(東田)
上の情報を踏まえて以下の新聞記事を時系列でお読みください。
「すべて」朝日新聞です。他紙はとりあげておりません。
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2007年08月24日 朝日新聞
非正社員支援に重点 連合運動方針
連合は24日、パートや派遣など非正社員の支援を強化する08年度
から2年間の運動方針案をまとめた。地方組織に「非正規労働センター」
を設け、労働条件改善に取り組む。若者に広がるワーキングプア(働く
貧困層)対策として、インターネットを通じた労働相談や組合への加入
促進もはかる。
10月の定期大会で了承される見通し。格差是正が社会的な課題となる
なか、「正社員・公務員クラブ」との批判を避け、労働者の3人に1人
まで増えた非正社員を取り込むことで、組織率の向上もめざす。個人で
加入できる地域ユニオンや、外国人労働者の相談窓口も増やす。
来年にも想定される労働者派遣法の改正については「これまでの緩和
の流れは絶対に認めない」(古賀伸明事務局長)とし、日雇い派遣の制
限などを求めていく方針だ。
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2007年09月13日 朝日新聞
「登録型派遣は禁止を」高木連合会長
連合の高木剛会長は13日の記者会見で、見直しの議論が始まる労働者
派遣法について、日雇い派遣のような登録型派遣は原則禁止を求める方
針を明らかにした。企業側の求めに応じ人材会社が登録スタッフを一時
的に雇って派遣する仕組みでは「雇用が安定しない」と指摘。人材会社
の正社員を派遣する常用型に限定するよう求めていく。
この問題で、経営側は派遣労働者の直接雇用義務の廃止など一層の規制
緩和を求めており、規制強化への転換を求める連合など労働側と対立が
激しくなりそうだ。
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2007年10月5日 朝日新聞 http://ccunion.net/tmp/asahi071005.pdf
法改正へ逆転国会追い風
労働者派遣法の改正をめぐり、規制強化を求める労働側の攻勢が際立っ
てきた。
一貫して規制緩和を勝ち取ってきた経営側だが、格差問題への批判の高
まりや参院選での野党大勝で、形成は逆転。労働側が不安定な登録型派
遣の原則禁止などを掲げて攻勢を強める一方、経営側は「風向きが悪す
ぎる」と、改正自体に及び腰だ。
登録型「原則禁止を」
「これまでは派遣法の改悪阻止がスローガンだったが、今度は私たちの
側から労働者のための抜本改正を目指そう」。4日、労働者団体が参院
議員会館で開いた集会。個人で入れる労組でつくる全国ユニオンの安部
誠事務局長はこう訴えた。集会には約160人が参加。野党議員を招い
た討論では、「格差、貧困の原因は労働分野の規制緩和が最大の要因」
などと政府を批判し、国会でも規制強化を求めていくとの発言が相次い
だ。
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2007年11月29日15時31分 朝日新聞
派遣料金の公開を要請へ 厚労省、マージン明らかに
労働者派遣法の見直しを検討している厚生労働省の労働政策審議会
(厚労相の諮問機関)の部会は29日、労働者を派遣した際に派遣元が
派遣先から受け取っている派遣料金の情報公開を進めることで一致し
た。厚労省は今後、派遣法に基づく指針を改正し、派遣会社に対して
公開を要請する規定を盛り込む方向で検討する。労働者側にとってマ
ージン(派遣手数料)がわかる意義がある。
労働者派遣をめぐっては、派遣会社が受け取る派遣料金に比べ、労働
者の賃金が低すぎるとの批判があり、労働者側はマージン率に上限を
設けるなどの規制強化を求めていた。
審議会は、経営側の抵抗が強いため上限を定めて規制するのは難しい
と判断。ただ、派遣料金の公開で労働者側にマージンが分かるように
することは必要、とする見解で一致した。
また、この日の審議会では、違法行為が横行している日雇い派遣につ
いては、何らかの規制強化が必要との意見でも一致し、厚労省は今後、
具体的な規制内容を検討していく方針。
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2007年11月30日08時17分 本日の朝日
派遣法改正見送りへ 厚労省、逆転国会で断念
労働者保護のあり方などをめぐり検討されていた労働者派遣法の改正案
について、厚生労働省は29日、来年の通常国会への提出を見送る方向
で調整に入った。改正内容を巡って労使の対立が激しいうえ、参院で野
党が優位を占める「ねじれ国会」では、与野党対立が必至の改正案を通
すのは難しいと判断した。ただ、違法な賃金の天引きなどが横行してい
る日雇い派遣については、指針の改正などで規制を強化する方針だ。
厚労省は今年9月、労使代表らでつくる労働政策審議会の部会で改正論
議を本格化。日雇い派遣を巡っては国会でも規制強化を求める意見が相
次ぎ、厚労省は年内に改正案の概要を固め、来年の通常国会への提出を
目指していた。
だが労政審では、「登録型派遣」について労働側が原則禁止を求め、経
営側は現状維持を主張。最長3年の派遣期間制限についても、経営側は
撤廃や延長を求めるが労働側は反対で、歩み寄りがみられない。
一方、民主党は大幅な規制強化を盛り込んだ独自の改正案の作成作業を
開始。労使の主張を折衷した政府の改正案が野党の厳しい追及にあうの
は確実で、「野党と折り合う見込みがない法案は出しにくい」(厚労省
幹部)と判断した。
ただ、日雇い派遣は極端に不安定な働き方で、賃金の違法な天引きや二
重派遣など不法行為が相次ぐことから、労使とも規制強化が必要との認
識で一致。行政指導の対象となる行為を指針で明文化することなどで、
実質的に規制を強化したい考えだ。
また、派遣会社が派遣先から受け取る派遣料金の情報公開を求める規定
も、法改正ではなく指針に盛り込むことを検討。派遣料金を公開して労
働者に派遣手数料(マージン)がわかれば、マージンを高くとる会社が
選別され、賃金向上につながる効果が期待できる。
厚労省の調査(05年度)では、派遣料金は労働者1人につき1日(8
時間)平均1万5257円。これに対し、派遣労働者の賃金は平均1万
518円で、マージン率は31%。
法改正については、より抜本的な規制強化を実現したい労働側から、強
く求める声が高まるのは確実。与党内にも法改正が必要との意見もあり、
曲折も予想される。
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(東田)
派遣業界にとっては悩ましいことです。1999年の派遣職種原則自由化、2004年の期間制限緩和、製造派遣解禁までは「押せ押せ」の規制緩和の流れだったのが、ここに来てゆり戻し、規制強化の動きが出てきました。そもそも人材派遣業を認めることに労働組合は反対していたわけで、それが自由化規制緩和の流れに押しに押されて後退していたところが、昨今の格差ブーム、参院の与野党逆転、偽装請負問題への世間の批判に乗じて人材派遣業を格差の根源と捉え、弱者の味方で派遣嫌いの朝日新聞の「後援」で一代反転攻勢に出たという構図です。
この流れの問題点は「人材派遣」を一くくりに捉えていることで、実は最近の派遣会社の不始末のほぼすべては製造・軽作業系派遣会社(元請負)がしでかしたことであり、26職種中心の事務派遣系派遣会社はこの「とばっちり」を受けています。しかし自由化後は同じ「派遣会社」になってしまいましたので「あっちとうちは違います」とは傍から見えないのですね。
またこの「元請負会社」にしても、もともと法律の適用を受けない「野育ち」で育ってきたわけで、それが急に派遣法の傘下に入ってしまって、コンプライアンスの急転換に体がついていってない事による不始末、きしみで、これは「体を慣れさせる」まで少しの猶予が必要だったでしょう。旧来の派遣会
社にしても偉そうなことは言えず、派遣法施行の最初からコンプライアンス万全であったかというとそうではなかったのです(exa社会保険加入)。その曲がりっぱなを叩かれたのがフルキャスト、グッドウィルといえましょう。
流れの問題点の第2は、格差と人材派遣業との相関です。非正規社員問題を言うなら、実は派遣人数より圧倒的に多数を占める契約社員・パート・アルバイトが等閑視されていることです。正社員が減った最大の要員は派遣社員が増えたことではなく、契約・嘱託・アルバイト・パートという「直雇用非
正社員」が増えたことなのです。こちらのグラフで人材派遣のシェアの小ささをご覧ください。(黒の下の白地が派遣)
http://www.jinzaibf.co.jp/column/pdf/050725.PDF
最低賃金法が今年改定され、従来より高めに決まったようですが、それでも東京都製造業で806円です。派遣業界はもっと高いですよね。
問題点の第3はここで働く労働者の意識です。本当に苦界に身を沈めている意識なのか?今年8月に発表された厚生労働省の「日雇い労働者の実態に関する調査」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/08/h0828-1.html
によると10ページの問7 今後の希望する就業形態
現状のまま 45.7%
正社員 29.6%
パート・アルバイト 8.2%
契約社員 2.8%
派遣(1ヶ月以上) 3.2%
無回答 10.4%
こちらから10ページを
→ http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/08/dl/h0828-1q.pdf
日雇い派遣を禁止していいのか?ですね。
以上つらつら書き連ねてまいりましたが、こんな私の反論などどこ吹く風、世の中の流れには逆らえません。まあ、こんなことはネゴの世界ですから落ち着くところに落ち着くでしょう。しかし流れの方向は人材ビジネス業界にとっては今までよりはやりにくくなる方にいく可能性は高いでしょう。考えてみれば1999年以降、うまく行き過ぎました。しかも緩和に向けて業界が強力に運動したわけでもないのですよ。全部追い風のおかげ。
ことここに及べば派遣業界も政治力発揮に乗り出すべきでしょうが、人材派遣協会できないだろうなあ、、。派遣健保は日本最大の健保なのですよ。集票力誇示したらあわてて政治家は集会にかけつけるのになあ、、、。
それはともかく、私の見解を言えば登録型派遣がまさか禁止になることはないと思います。こんなことできるはずがありませんし、声を上げるほうもそこまでは本音では思っていないでしょう。それにしても朝日新聞は、、、、。派遣会社憎しで固まってますね。派遣業界には募集広告でお世話になってきたはずなのに、、、。
最後に一言。製造派遣業界に2009年問題が近づいています。こちらご覧ください。
http://diamond.jp/series/closeup/11_10_001/
これへの対応策は
①クーリングオフ(3カ月)
②直雇用(契約でもパートでも可)
③完全請負
しかないそうです。②は派遣会社の売り上げにならないし、①は現場が大変だし、③は現実的に難しいとなると、、、。ウーン。