他に類のない派遣業界幹部向けの会員制メールマガジンを発行し始めて4年になります。派遣業界に 関する話題を斬新独特の切り口で取り上げ、多くの派遣会社管理職の皆様に愛読いただいております。そのバックナンバーの一部を御覧下さい。
東田康之
今回は最初に人材紹介の話をしますが、後半これが派遣業界の話に結びつきますので投げずにお読みください。添付の新聞記事は8月4日日経産業新聞です。
JACジャパン 土日の転職相談を拡充
有職者取り込み
優秀な人材確保
JACジャパンは直近決算で売上58億円、リクルートエージェント、インテリジェンスに続く人材紹介業界大手です。記事によると「これまではキャリアコンサルタントの勤務シフトを考慮し、土日の相談はほとんどなかったが、働きながら転職先を探す人が増えているため、土曜、日曜日の転職相談を強化し始めた」「同社では希望者の7割が働きながら転職先を探す人で、平日夕方からの相談では対応できない状態が続いていた。」との事。
そんなこと当たり前ではないか、今頃始めたのかいな、と思われる方もおられましょうが、この土日勤務問題は大手の会社ではなかなか困難な労務課題なのです。紹介業界最大手のリクルートエージェントでは6年前からそれまでの土日休日制から「週休2日制」に変更しました。これは曜日にこだわらず1週間に2日休めるとしたもので、多くのカウンセラーは日曜ともう一日飛び休日を取り、土曜日はほとんど出勤しているようです。しかしこれはこれで問題があり、Rエージェントは求人獲得の営業マンは土日休みなので、平日の1日は営業マンとカウンセラーが連絡取れなくなってしまうのです。また平日の登録者からのメールの返事がたまってしまうという欠点もあります。ここがサービス業の辛さですね。
さてちなみに同じ紹介業者の当社(と言っても私だけの一人親方会社ですが)はどうかといえば、個人営業の気楽さで、登録来社のある日はいつでも開業、ない日はいつでも休業という弾力的な勤務スタイルです。そこで今年1月から7月までのデータを取ったのが添付のグラフです。結果は予想通りで、最も面接が多い曜日は土曜日で、総面接者の28.7%がこの曜日に集中します。日曜日も月曜、水曜より多い10.3%。もし土曜日曜を休業にしていれば総面接数の39%を逃していることになります。JACジャパンはこの層を取り込もうとしているのです。
次に現職中(上の見出しでは有職者)と無職の区別で言えば、エントリー職歴から見て紹介困難と私が判断した方(すなわち登録困難)は現職中52%、無職48%とほぼ拮抗するのに対し、立派なキャリアで是非面接したいと思った方(登録OK)は現職中67%、無職33%という数字が出ました。これからいえることは「おいしいキャリア」(下品な言葉で失礼)の方は現職中に多いのです。そうすると現職中の方が登録に来易い受け入れ態勢を整えるのは当然の処置で、彼らが来にくい登録時間帯を設定している会社は事業者として論外といえましょう。
さてここまでは土日の登録受付の話でして、現職者が来易いもう一つの時間帯である「平日の夜間」は紹介業界では当然に登録受付しております。
翻って人材派遣業界はどうか?平日夜間登録会と土日登録会を開いているのか?独立系派遣会社と資本系派遣会社に分けて結論を言えば、土日は独立系は一部大手を除いて皆無。資本系は皆無。夜間は独立系はほとんどが開催、資本系は月2-4回がいいところ。ところがスタッフ募集広告費は独立系資本系問わず、スタッフ確保は生命線であるとして昨今「湯水のように」使っております。ところがその反響の受け皿としての登録会が、現在無職の方しか登録できない平日9時―17時メインというのは首尾一貫した募集戦略とはいえません。募集広告の受け皿としての登録会を平日時間外に拡充していく必要があり、これは「やったもの勝ち」です。しかしやろうにも、今さら土日休みで採用した社員にシフト出勤させるのは気が引けるし、させても平日代休はもっと困る。夜間登録会の連発はマッチングタイムにブッキングするし、残業時間がかさむ、、、、。どうしたらいいのやろか、、、?
この難題を解決する手段が、大手独立系が採用しているコーディネーター業務から登録業務を切り出してシフト勤務前提で採用の契約社員に任せることなのです。コーディネーター業務の分割は募集対策なのです。
さて実例として昨日まで店頭に並んだとらばーゆ関西版お盆合併号に掲載の各社募集広告から夜間土日登録会の情報を拾って見ますと、
- リクルートスタッフィング (土曜登録会8/19・26)
- アデコ (土曜登録会 梅田8/19・26、難波8/26)
- スタッフサービス (京都8/19)
- 富士ゼロックスキャリアネット(夜間 隔週火曜18:30~)
- テンプスタッフ (土曜登録会 梅田・姫路8/26)
- 松下エクセルスタッフ(土曜登録会 京滋支店8/19、OBP・神戸8/26)
- NTT西日本-関西(土曜登録会8/19
この土曜説明会が毎月定例開催なのか8月のみの夏枯れ対策開催なのかはわかりません。
私の実体験で言うと、就業中のエントリー者に面接日を土日で提示するとほとんどの方が土曜日を希望されます。やはり連休は初日を使いたいのでしょう。
今回の話題は「提案」ではありません。管理職でもあった私としては夜間休日出勤を社員に強いることの困難さは充分理解しております。不動産会社は土日開業してはいますが、火曜水曜休んでおります。それは顧客がエンドユーーザーのみの商売だからで、平日開業のクライアントをも視野に入れざるをえない派遣会社とは事情が違います。しかし問題提起はさせていただきたい。スタッフ募集対策を突き詰めると、媒体戦略だけではなくこの受け皿の問題に行き着かざるをえないのです。この受け皿の大きさの大小によって同じ広告費を使っても登録来社数が違ってしまうのです。
最後に当社登録者のうちの紹介成約者の登録分析(1-8月)をお知らせしましょう。
全決定者の約半数(47.8%)が土日登録者です。