Research of manpower supply business field.

他に類のない派遣業界幹部向けの会員制メールマガジンを発行し始めて4年になります。派遣業界に 関する話題を斬新独特の切り口で取り上げ、多くの派遣会社管理職の皆様に愛読いただいております。そのバックナンバーの一部を御覧下さい。

東田康之

人材派遣市場はそんなに伸びているか 厚生労働省事業報告の新聞記事を検証する
厚生労働省が平成18年度派遣事業 事業報告を昨年12月28日に発表しました。この調査は平成18年度中(平成18年4月1日から平成19年3月末日まで)に事業年度が終了し、報告書を提出した派遣元事業所についての事業運営状況について取りまとめたものです。

    http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/12/h1228-2.html

当市況通信では平成14年度から毎年この時期に概要をお知らせしておりますが、年々この調査結果をお知らせすることに違和感が強まってきました。年を追うごとに、私が感じる派遣業界の実態と発表数字の水準の間にずれが出始めたのです。また四半期ごとに発表される日本人材派遣協会の業績調査の実態とも乖離が出ております。

ちなみにこの厚労省発表を扱った新聞発表を見てみると、見出しは次のごとくです。皆さんどうお思いになりますか?

12月29日日経新聞 
       派遣労働者26%増 昨年321万人で最多
1月8日日経産業新聞
       人材派遣市場34.3%増 06年度5兆4189億円
         最高を更新
                 (以上2紙の記事を添付しました)

「とてもこんなに伸びているとは思えない」というのが皆様の偽らざる感想ではないでしょうか? ちなみにこの期間の人材派遣協会業績調査における加盟有力会社のスタッフ数の全国前年伸び率は7.38%増でした。この落差はどこから来るのか?今回の市況通信ではこの落差の原因を検証します。

まず報告書全26ページから上記2紙が採用した見出し数字

  派遣労働者26%増 昨年321万人で最多  (12/29 日経)
  人材派遣市場34.3%増 06年度5兆4189億円(1/8 日経産業)

の該当箇所を探しました。ありました。
  表3 労働者派遣された派遣労働者数等
  表7 労働者派遣事業に係る売上高    です。

この2表の中での2紙の採用数字の該当部分を見ると、うーん、我々の興味とは違うなあ、、、と思える箇所の数字を採用しています。
①一般登録型派遣と特定派遣の合計数字を採用しているのですね。ここは一般派遣のみの数字で見たいです。次に
②表3では派遣常用雇用労働者(1年以上勤務)に登録者数を加えたものを採用しています。
ここでいう登録者数とは単に登録しているだけのスタッフではなく、1年間に1日でも就労実績のある者をいうとのことです(名前の付け方が悪い!)。したがって1ヶ月就労しただけの「登録者」が12人いれば「常用換算した常用雇用以外の労働者」1名とカウントされます。

この①②を修正しますと見出しはこうなります。

 派遣労働者26%増 → 派遣労働者19.9%増

 人材派遣市場34.3%増 06年度5兆4189億円
    → 人材派遣市場32.5%増 06年度4兆4082億円

       *該当箇所を添付した「新聞見出しのデータ」でご覧ください

検証はまだ続きます。次に派遣職種の内訳を分析します。一体どの職種が伸びているのか? 私の興味の関心は26業務にあります。

その前に、一般登録型で大まかな職種内訳を分類しますと、26業種と新職種に分かれますが、この厚生労働省調査では26業種については26すべての職種の実数が取り扱われていますが、新職種の総数を単独で取り出した表記はありません(営業職や販売職の内訳は調査されていない)。その代わり昨年調査から新職種の一部である製造業務については別途項目を設け調査数字を発表しています(社会的関心が高い分野からだからでしょう)。そこでまとめると、厚生労働省で記載されているのは

   ①26業種 ②製造業務 ③総数

記載されていないのは
   ④製造業務を引いた新職種  です。

④については③マイナス①マイナス②で求められますので、この計算をしますと、以下の表が完成します。

             前年比
   26職種     104.67 
   新職種(製造除く)111.72
   製造業務     341.25
   総計       119.91(上記の修正数字)

いかがでしょう。疑問氷解しましたね。26職種の伸びは4.67%でした。製造の3.41倍の伸びが総数の伸びを牽引していたのです。またこの製造の伸びも、実数が伸びているのではなくて請負からのリプレイス数字でしょう。

そこでもし私が日経新聞のデスクでしたら付ける見出しは以下のごとくです。

    一般登録型派遣労働者19.9%増
        製造業の3.4倍の伸びが牽引、
        26職種はスタッフ不足で4.7%に減速

派遣実数内訳を付けた表を作成しましたので添付ファイルご覧ください。

以上

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⇒ 二日後続報

先ほど送信しました市況通信に対し、読者様(メーカー系)からご丁寧
にも以下の情報をいただきました。私のコメント

> 製造の3.41倍の伸びが総数の伸びを牽引していたのです。またこ
> の製造の伸びも、実数が伸びているのではなくて請負からのリプレイス数
> 字でしょう。

が確認できました。また派遣労働者で一般事業所の「常用雇用」なんてある
のかと疑問でしたが、これでわかりました。

ご参考までに社名伏せてお披露目します。


----- Original Message -----

> 東田様、
>
> いつも貴重な情報ありがとうございます。
> さて、派遣の伸びは大半が生産現場等での業務委託に関して
> の偽装請負の是正が効いて、相当数が派遣に切換えたから
> ではないかと思います。
> 私どもの親会社では請負の人を全て派遣に切換
> えましたから1000人以上の規模で変わっています。
> その他の事業所も労働局の指導が入る前に自主点検で、
> 少しでも指揮命令が出てしまうとか、設備が自社で用意出来
> ないものは業務委託を取り止めて貰い、派遣に切換えています。
>
> 統計データでも常用雇用での派遣が急増したのではと思います。
> 個人的私見でございますが、何か請負と比較できるデータが
> 公的機関から出ると良いですね。