他に類のない派遣業界幹部向けの会員制メールマガジンを発行し始めて4年になります。派遣業界に
関する話題を斬新独特の切り口で取り上げ、多くの派遣会社管理職の皆様に愛読いただいております。そのバックナンバーの一部を御覧下さい。
東田康之
人材派遣会社向けの紹介業を始めて5年半、この間多くの派遣業界経験者を面談してきました。その際この方々に、なぜ前職(現職)の派遣会社を辞めた(辞める気になった)のか、その理由を聞きますが、その冒頭、私は必ず掛け声『本音で言ってね』をかけます。すると、一瞬戸惑った表情を浮かべながらも観念して訥々と理由を述べられます。
さてここからが皆様に興味あることですが、その本音を、辞めるときに正直に会社側に行ったのかと聞くと、約半数は首を振ります。『そんな本当のこと、言えません』と、、、。では何と言ったのかと聞くと個人的理由で済ませたと。即ち、体調崩し、結婚、留学、親の面倒、、、。
これはどこかで聞きましたね。そう、派遣スタッフが就業先をキャンセルする常套句です。「本音の理由を言うと相手を傷つけるので、文句の言えない口実を探し出す」、この偽装理由にそっくりです。
もしこのケースが退職現場で多いとすると、派遣会社の経営に由々しき問題が出てきます。即ち、社員が退職する本当の理由を掌握できず、退職の会社側の原因を根絶する手を打てないことです。もちろん社員にもピンキリがありますので、辞めてほしいと思っていたキリの社員が退職申し出してきたら「しめしめ」でしょうが、ピンの社員までが辞めてしまうのは会社経営にとって由々しきことで、周りへの影響を含め、この状態が相次ぐことは人材で成り立つ派遣会社の経営を直撃します。
この市況通信の読者様は社長を含め派遣会社の経営幹部の皆様ですが、この本音の退職理由が皆様の耳に入っているかを問いたいところです。勿論派遣会社の社長さんの中には退職社員の申し出にはご本人が必ず面談するとして、何と女性社員の滂沱の涙に備えて社長室にティッシュペーパーの箱を常備されている方も存じておりますが、この社長は少数派で、ほとんどの社長様は退職者直属の上長からの退職理由報告を聞くか、またその上の部長から聞いて、苦虫噛み潰して「また体調崩しか、、、それにしても続くな、、あまり残業させないようにしろよ」ぐらいの指示で済ませておられないか危惧します。
外食店舗にはよくお客様アンケートが常備してあります。そのアンケート箱は密閉で店長は開けられず、直接本部に行くとのことです。この消費者アンケートこそが店舗運営上の宝の箱だとおっしゃる創業社長の記事を読んだことがあります。しかるにサービス改善どころではなく、優秀な社員が社員の座を捨てて辞めてしまうというのはよくよくのことで、その原因がもし会社側にあるのであれば、そしてその原因を経営が掌握しての根絶の手が打たれないのであれば、人間感じることは同じですので第2、第3の離反が続く恐れがあります。
派遣会社の中には人材大量消費型の会社があり、優秀な社員もそうでない人も等しく「去るもの追わず」の割り切った会社が現にありますが、この通信の読者の会社は全てがそうでない事を確信していますのであえて今回このテーマを取り上げたしだいです。
添付資料には私の聞き取り経験による本音の退職理由を表にまとめてみました。多くの退職理由はこれら項目複数の「複合型」です。内容によっては対策取るのが困難な項目もあります。「社風」によるものがそれで、これだけは一朝一夕に変えられるものではありません。
一方、「上司に不満」は変えられます。案外多いのですよ。特に「直属の上司」への不満によるものが、、。退職申し出は通常直属の上長に申し出るものですので、その際に「あんたが嫌や」なんて言えるものではありません。退職者は当たり障りの無い理由を持ち出すでしょう。そしてこの上司は(うすうす感じていても、、、感じない鈍感もいますが、いやその方が多いですが)その上の部長には申告通りの理由を伝えますので、上には本当の理由が伝わらず、知っているのは残った多くの同僚達という、まさに「裸の王様」状態になるのです。そして同僚の中には退職予備軍が、、、。
この「上司に不満」が多いのは中央の目の届きにくい支社や、完結して横のつながりの薄い部署に多いです。同じ部署で退職が続発するのは偶然ではありません。そこの管理職のマネジメントに問題がある場合が多いです。
昔派遣会社の支社長時代、派遣スタッフの中途退職が相次いだ尼崎のメーカーに営業マンとお詫びに上がったことがあります。その時、先方人事担当者はあまり怒っていなかったのです。まあしようがないなという感じで。その際の言葉に脱力しました。『あの課長の部署は続かないからお宅の責任ばかりではないよ』と。派遣スタッフが続かないことで社内でも有名な部署だったようです。それなら人事から注意をしてくれと、のど元まで出たのを覚えています。
さてそこで提案です。退職が決定した社員に社長から直接退職理由問い合わせ趣旨のメールを出しましょう。上長のいるオフィスに直接社長が電話すると物議をかもしますのでここはメールで。もう退職決定しているのですから本人はサバサバ状態ですので本音で返信してくれるでしょう。それが退職決裁書の理由と全く違っていたら、、。それは最終的には社長の責任です。現場掌握力不足という事で、、。
もちろん社員に迎合する必要は全くありませんが、ダイレクトな本音を経営が収集する体制を作ることは必要ではないでしょうか。派遣会社は一部を除き、そんな大規模の会社ではありません。そこで裸の王様になられませんように。
暴言多謝。