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東田康之
今回は紹介業に一大波紋を呼び起こす戦略を取り上げます。
本日の日経産業新聞より
テンプスタッフ 金融特化の転職支援
ボーナス支給も
ざっくりまとめると、テンプスタッフが昨今求人ニーズの高い金融業界に特化した人材紹介業を9月から行い、その特徴は
というものです。正直言って(1)が目玉で(2)(3)は他の紹介大手でもしていることです。ホームページで詳細を御覧下さい。
テンプスタッフグループ|ニュースリリース
| 転職6ヶ月後に年収10%のキャリアボーナスを支給
派遣会社の皆様にとってはこのニュースは「ほーう、そんなもんかいな。うちには関係ないわ。」と思われるかも知れず、それもごもっともなこととは思いますが、小生の見解をいくつか。
1.紹介決定者にボーナス(年収の10%)を支給するというのはこれはまさに紹介業界では空前絶後、コロンブスの卵、殿ご乱心といえる決定です。しかしテンプスタッフとしては当然計算した処置であるわけで、唯一最大の主眼は募集対策です。これは登録者募集において他社と差別化する最大の目玉です。特に金融業界の求人など、当然ハイスペックの人材を要求されるわけで、適合する人さえいれば楽勝です。紹介各社はこのような人材を確保するために大量の募集費を使っているわけで、その中でボーナス支給は異彩を放つ募集となります。
ところでそのボーナスの原資はどこからひねり出すか?当然顧客からの紹介手数料からです。その際その手数料にこのボーナス分を上積みして請求できるかといえば、他社競合上そんなことは不可能ですので、このボーナスは規定紹介手数料(通常は想定年収の30%)から負担することになります。結果テンプの手取りは20%。これは結果的には手数料を20%で求人を受けることと経営的には同じことですが、この求人難の折、顧客は値引き要求などしませんので紹介料ディスカウントよりボーナス負担で差別化する戦略は正しいと思われます。
2.もう一つの特徴。それはこの事業をテンプ子会社の紹介会社であるテンプスタッフキャリアに任せず、テンプ直営で行うこと。グループ内に二つの紹介事業が並立することは異例ですが、これはテンプ本体の事務派遣営業部隊の協働力を生かすには関連会社に任せないほうが運営しやすいとの判断と推測します。またテンプスタッフキャリアの一部門に組み込んでしまうと、他の領域の登録者とで差別感が出てしまう(なぜ俺達10%もらえないの?)ことも大きな理由でしょう。
3.人材紹介業界は今や専門化の流れが留まらず、総合紹介会社と言っても内部は専門領域ごとにカウンセラーが置かれ、実際は専業紹介会社の複合体としての総合紹介会社になっております。一方、中堅中小紹介会社は総合分野での勝負を避け、得意分野に傾注して専門分野のプロを任じて大手に対抗する会社が多く、金融業界向け紹介会社もこのどちらかに属します。その中で今回のテンプの戦略はオーダー獲得面では既存事務派遣部門と金融業界窓口とのリレーションを活用し、登録者募集面では業界初のボーナス支給による他社差別化という、営業・募集両面での特化戦略といえます。
ともあれ紹介手数料原資を値引きにではなく、募集費にではなく、成約者ボーナスに回して登録を促すという「最強の募集戦略」を採用したテンプスタッフの斬新な戦略は紹介業界に波紋を投じることでしょう。