他に類のない派遣業界幹部向けの会員制メールマガジンを発行し始めて4年になります。派遣業界に 関する話題を斬新独特の切り口で取り上げ、多くの派遣会社管理職の皆様に愛読いただいております。そのバックナンバーの一部を御覧下さい。
東田康之
この市況通信の送信先人数は今日現在で280名です。ここからまだ転送されることを事を思うとまず500名以上の派遣業界幹部が毎週お読みいただいていることは確実で、毎週の発行責任には身の引き締まる思いで、事実、本業の紹介業よりこちらに割くパワーのほうが大きいといっても過言ではありません。しかも1年分前金をいただいておりますので止めるに止められず、えらいことを始めてしまったと反省することしきりです、、、というのは嘘でして、根がこういうこと好きなもので、いそいそ書き続けて丸5年になろうとしております。
さて前置きが長くなりましたが、この読者500名様のうち、派遣業界在籍10年を超える方はどれぐらいいらっしゃいましょうか?市況通信会員の7割が資本系派遣会社ですので幹部の方々はお年を召してはいても(失礼)業界歴は浅かろうと推測しますし、独立系の方も中途採用で入社されたている方がほとんどでしょうから、私の体感値でいえば、500名中10年以上のキャリアの方は10~20%と推測します。急成長の新しい業界はキャリアが上も下も短いのです。
さてここから本号のテーマにつなげていきますが、今年は労働者派遣法が施行されて21年(1986年)ですが、当時の事情をご存知の方は読者の中にはまずいらっしゃいますまい。これが終身雇用の金融や商社、メーカーの社員ですと、社歴21年以上の方など40歳代でゴロゴロいらっしゃり、社歴30年以上に拡大しても50歳台でいくらでも現役でおられることを思うと、いかにこの業界が特異な存在かがお分かりになると思います。
この業界の来し方歴史、今ここに存在する業界のついこの前の状況をここで衣食する幹部のほとんどがご存知ないというのはいくらなんでも、、、という問題意識から私主催の幹部セミナーでこの業界の歴史を詳しくお話しすると、「自分たちの得ていた点の知識が面でつながりよくわかった」と喜んでいただく幹部を見るにつけ、何かこの業界の歴史を一望できる資料がないかと思ってインターネットサーフィンをしていたところ、見つけました。
政策研究大学院教授 濱口桂一郎氏のホームページ「hamachanの労働法政策研究室」の枝ページに昨年11月30日に連合の「労働者派遣・請負問題検討会」第1回講演で話されたメモ全文が掲載されています。演題は「労働者派遣法の制定・改正の経緯について」。
講師(49歳)の経歴を見ますと1983年に東京大学法学部を卒業し労働省に入省、以後2000年まで労働省関係の仕事に携わった後、2003年に東京大学大学院客員教授に就任していますので、労働行政実務出身の異色の学者といえましょう。
講師略歴 http://homepage3.nifty.com/hamachan/keireki.html
さて講演内容ですが、テーマを職業紹介と人材派遣の法律制定・改正の歴史に絞って、何と1921年の職業紹介法の成立から説き起こし、現在に至る80年の労働行政の俯瞰史が語られます。戦時下の規制、戦後のGHQ影響下の職業安定法の制定、請負、紹介業の勃興、1986年の労働者派遣法の施行、以降の規制緩和の背景と法制定の舞台裏等々、業界歴19年の私でさえ初めて知った話が一杯の非常に興味深い内容です。また連合主催の講師とはいえ、スタンスはまことに中立、朝日新聞登場の識者のようにバイアスかかっておりません。ぜひ一読ください。我々のよって立つ人材派遣業界がいかなる背景で成立、発展してきたか、また法制定の裏に生々しい利害の衝突があったことが良くわかります。
ご一読を本心からお勧めします。
ただしお断りですが、コピープリントして全13ページびっしりと文字が詰まっておりかつ漢字だらけ。かつ密度の濃い文章ですので意味を取るのに片手間に読める代物ではなく、読むのにかなり集中力を要します。これはザワザワしたオフィスではなく、通勤電車の「大衆の孤独」に身を置いてお読みになることをお勧めします。その値打ちはありますので。
http://homepage3.nifty.com/hamachan/rengohakenukeoi.html
追伸 / それにしても連合が「派遣・請負問題検討会」を昨年11月に開いているのですね。もちろん連合は派遣の規制緩和には反対の立場で、1999年に始まる原則自由化には自由化派に「押しまくられ」ましたので臥薪嘗胆を企てて検討会でも開いたかと邪推します。昨年11月といえばまだ安倍首相が健在で規制緩和派がまだ力を持っていました。然るに今はといえば民主党が力を得て「ゆり戻し」傾向が顕著になり、自民党も穏健リベラル派が要職を占めていやーな雰囲気になっているところに、登録型派遣の原則禁止などを言い始める勢力も出てきました。
ちなみに昨日こんな会合がもたれました(新聞記事添付)。時計の針を1999年以前の規制に戻せといいます。この話題は来週号で取り上げます。