Research of manpower supply business field.

他に類のない派遣業界幹部向けの会員制メールマガジンを発行し始めて4年になります。派遣業界に 関する話題を斬新独特の切り口で取り上げ、多くの派遣会社管理職の皆様に愛読いただいております。そのバックナンバーの一部を御覧下さい。

東田康之

地方にマッチングセンター

先週の市況通信では旭化成アミダス社の一元管理体制を取り上げました。大手派遣会社が効率性追及のために業務分化を進める傾向に一石を投じる体制の会社を紹介したかったのですが、その対立概念である分割体制の具体例としてアデコの新宿マッチングセンターに言及しました。

曰く『アデコに至っては新宿に一大集中マッチングセンターを設け、山手線内の営業所には営業マンしかいないという状態にまで「突き詰め」ました。』

先週の通信発信後にアデコの東京現職営業担当と話す機会があり、この成果を聞いたところ、集中マッチングセンターに自分のオーダーを送信してもマッチングしてくれる保証が無いので、自分でマッチングしている営業マンが多いとのことです。これではいけませんね。

ところでアデコよりもっとすごいマッチング体制を試し始めた大手派遣会社があることを発見しました。営業マンとコーディネーターとが別れるマッチング体制を組んで上手く行くなら、コーディネーター陣は別に東京にいる必要はないという大胆な発想。電話の104番号案内サービスのコールセンターは北海道や沖縄にあり、そこから東京銀座の番号問い合わせを受けていることはご存知かと思いますが、まさにその発想を派遣マッチングに適用し、東京のオーダーを紹介するマッチングセンターを何と大分県別府に作ってしまいました。リクルートスタッフィングです。以下の日経新聞九州経済面記事を御覧下さい。

リクルートスタッフィング、別府コールセンターの人員倍増

人材派遣業のリクルートスタッフィング(東京・千代田、本原仁志社長)は、登録しているスタッフ  への仕事紹介を行うコールセンター、別府マッチングセンター(大分県別府市)の人員を現在の140 人から300人に倍増する。首都圏での旺盛な派遣スタッフへの需要に対応するため、首都圏の仕事紹 介業務の補完体制を別府で強化する。

リクルートスタッフィングは首都圏はじめ全国の事業拠点に仕事紹介センターを設置。首都圏では各 企業の派遣スタッフへの需要は旺盛だが、スタッフを集めにくい状況が続いている。このため、同社 はこれまでにスタッフ登録した人らに、電話で仕事を紹介することで、人材の掘り起こしを図ってい る。

従来は、各地のセンターで仕事紹介の電話をかけていたが、昨年4月に別府で仕事紹介専門のコール センターを開設。当初は30人だった人員も現在は140人に拡大し、年末までに300人体制を目指す。 同社が仕事紹介のコールセンター業務を遠隔地で行っているのは、別府だけ。

別府センターの青山尚弘センター長は「業務拡張を考えると、地元に大学があることや、事務系の仕 事が比較的少ないため人員が集めやすい」 という。
別府センターは日曜日と祝日を除く毎日稼働で、主婦層や地元の大学生らが主力。ブースは105席  あり、平均50席が埋まる状況。ブース拡張を進めて300人体制に備える。また、サービス向上の ために研修や業務フローの改善などを図る。

(06/06/09 日経新聞九州経済面記事)

東京の求人を別府から電話してマッチングするなど、旭化成アミダスの考えから言えば「神を恐れぬ」行為といえましょう。私は平成元年から13年までRS社に在籍し、後半4年は役員として毎週経営会議に出席しておりましたが、このような案が提案されたら当然却下だったでしょう。 役員全員反対。その理由は旭化成アミダスの思想。「業界経験者」として、こんな案を支持できません。しかし、抵抗がある、無しの主観無しにこの方策を考えれば、まさに発想の転換、革命です。

大手派遣会社が地方に営業以外で事業所を出す例としては、災害発生時のリスク分散を目的に(勿論人件費家賃の削減も)派遣のバックヤード事務処理業務を一括受託する拠点を八戸、宮崎に設けたスタッフサービスがあります。

しかしマッチング拠点を地方に設けるなど聞いたことがありません。この案の言いだしっぺは、RS社でもあまり業界経験の無い、したがって先入観も思い入れも無い人でしょう。それを裁可した経営陣には一目置きたい気分です。個人的には付いていけない、いきたくない戦略ですが 、、。ともあれ規模拡充するという事はこのやり方がうまく進んでいる証しなのでしょう。業界常識を覆すこの体制に注目です。

なおこの「遠隔マッチング」が成り立つ条件として、コンピュータの検索システムの高度化が必須です。丁度本日の日経産業新聞に派遣大手のマッチングシステムへの投資が取り上げられていますので記事添付します。Rスタッフィングについての言及ありませんが、恐らくここも改良バージョン使用していることでしょう。 <追伸> 上で扱いましたリクルートスタッフィングの別府マッチングセンターについて後日下記情報が入りました。

  1. ここでの仕事は通常のマッチングとは若干違った役割分担、すなわちクリーニング含むリスト精査への業務比重が高い事。
  2. 土曜勤務や21時まで勤務と言った、シフト勤務ならではの他社優位性もあること。

そうですよね。いくらシステムが整備されてるとはいってもフルマッチングは遠隔ではやはり無理があり、「遠隔ならではのコーディネーター業務」に注力しているという事です。そういえば膨大な過去登録スタッフの現況確認クリーニングはどこの派遣会社でも重大問題で、コーディネーターがこの確認作業に手間暇を取られて本来のマッチングにパワー集中しにくいことは派遣各社共通の大きな悩みです。この業務の外出しは皆様の会社でも参考になりましょう。